養育費を払う約束をしたのに養育費の未払いされた場合、「そのうち支払われるだろう」と放置するのは得策ではありません。離婚した後も連絡できる関係を維持できていて、「ちょっと支払い遅れる」という連絡がある時などの場合は、様子見でも大丈夫だと思いますが、あまりにも支払いが遅い場合は、行動をおこしましょう。
養育費は、お子様の生活のために必要な費用ですので、基本的には支払いが遅れればちゃんと督促し、未払いは許容しない態度を明確にしていくべきです。
相手に連絡する
支払いが遅れている。または数ヶ月も支払われてない場合など。まずは、相手に連絡して支払うように督促しましょう。電話・LINEでも、書面でも構いません。
相手方に未払いの悪意はなく、不注意で忘れていたり、体調を崩していたり、仕事が忙しくて振り込む時間が取れなかったりして支払いが遅れたという場合もあります。
履行勧告・履行命令の制度を利用しよう
家庭裁判所の履行勧告・履行命令の制度は、家庭裁判所で養育費の取り決めができている場合のみ利用できます。養育費に関する公正証書を作成しただけの場合には利用できません。
履行勧告・履行命令とは
履行勧告は、家庭裁判所により、履行状況(養育費の未払いが有無)を調査し、相手方に対して取り決め通りに支払うよう履行を勧告し、督促してもらう制度です(家事事件手続法289条)。履行勧告に強制力はありませんが、相手方は、裁判所から直接督促を受けることになるので、一定の効果が期待できるというメリットがあります。
履行勧告によっても支払われない場合、家庭裁判所が相当と認めると、一定の時期までに支払うよう命令を発してもらうこともできます。これを履行命令といいます(家事事件手続法290条)。この命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処せられるという制裁があるので、一定の強制力を有します。しかし、金額は10万円であり、そこまで強制力はないため、あまり履行命令は利用されていないのが実情です。
しかしながら、履行勧告・履行命令は、強制執行と異なり、手続き費用もかからず、手続き自体も簡単で、家庭裁判所への口頭での申立ても受け付けてもらえるというメリットがあります。
履行勧告・履行命令は、あくまで裁判所から相手方に対して、自主的に支払うよう促す制度なので、相手方が自主的に支払う姿勢がない場合には、あまり回収の効果は望めません。ただし、上記のようなメリットもありますので、強制執行をする前に利用を検討してみるとよい場合もあります。
強制執行の手続きをとる
養育費について強制執行力のある書面(債務名義)がある場合には、地方裁判所に対して強制執行の申立てをすることで、相手方の財産から強制的に支払いを確保することができます。
確定判決・和解調書・調停調書・審判調書公正証書(執行認諾文言有) などのことをいいます。
離婚の際に公正証書を作成せず、口頭や公正証書以外の書面で養育費の合意をしたにすぎない場合には、すぐに強制執行の手続きをとることはできません。未払いとなっている相手方であっても、公正証書の作成に応じることはありますので、一度公正証書の作成について話し合うとよいでしょう。公正証書の作成が難しければ、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に養育費支払いの申立てをして、債務名義となる調停・審判調書を得る必要があります。通常は、まず調停を申し立てて、話し合いによる合意成立が難しい場合には審判に移行します。
しかしながら、養育費の支払いがなく子どもを育てるのが困難な経済状況に陥っている場合には、初めから審判を申し立て、併せて審判前の保全処分の利用を検討するとよいでしょう。審判前の保全処分手続きでは、迅速に案件を検討し、仮差押えや仮払仮処分が認められることで早期の回収が見込まれますが、認められるための要件が厳格である点には注意が必要です。
連絡したくない場合は、弁護士に相談
直接相手方に連絡したくない場合は、弁護士さんに代理で手紙を書いて督促してもらったり、代わりに電話して支払うよう督促してもらったりこともできます。
養育費の未払いに対してどのような対処法が適切なのか判断が必要なケースがあります。例えば、強制執行力のある債務名義をもっていて、相手の職場が把握できている場合は、給料を差し押さえることが最も確実な回収方法ですが、相手が差し押さえされないように仕事を辞めてしまうと差し押さえる対象の給与自体がなくなってしまう可能性があったりします。
弁護士であれば、それを踏まえて、強制執行の手続きをする前に、交渉で自主的な支払いを求めたり、裁判所からの履行勧告の手続きを利用したりしその時その時で的確にアドバイスしてもらえます。
強制執行する場合は、相手財産を特定する必要がありますので相手の預金口座の銀行名と支店名まで把握していることが必要です。
わからない場合でも、弁護士に依頼してもらえば職権により調査することで特定できることがあります。
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